Webサービスのビジネスモデルを考える -サブスクリプション編-

企業や個人によって日々開発され世にリリースされていくWebサービス。

それぞれのサービスが課題を解決するという大きな目標を持っていますが、ビジネスである以上、必ず収益を生み出す仕組みも備わっています。

今回はWebサービスのビジネスモデルがどうなっているか見ていきましょう。

大まかなWebサービスのビジネスモデル

各サービスの内容は同ジャンルであっても細かく差別化が図られていますが、収益の生み出し方、つまりビジネスモデルは意外なほど少数のパターンに分類可能です。

下記は筆者による分類になります。

  • サブスクリプション(定額課金制)
  • EC(通販)
  • アフィリエイト(広告収益)
  • プラットフォーム

どのようなサービスも、概ねこの4パターンに当てはまると思います。

今回は、この中から近年になって急激に増えている「サブスクリプション」について実例を交えながら紹介します。

サブスクリプションとは?

サブスクリプションとは、もともとは雑誌の定期購読を指す言葉でしたが、ここでいうサブスクは、月払いや年払いによる支払いで一定期間サービスが利用可能となり、更新タイミングが来ると自動的に継続される課金方式です。

ここ10年ほどで急激に広まりを見せており、今やサブスクブームと呼べるほどです。その波はデジタルに留まらず、多種多様な業界でも採用されるようになっています。

読者の方も利用しているサービスがあるのではないでしょうか?実際の例を挙げてみましょう。

サービス提供型

  • Adobe Creative Cloud
  • Microsoft 365
  • Netflix
  • Oisix

付加価値型

  • Amazon Prime
  • Apple Music

機能解放型

  • YouTube Premium
  • PlayStation Plus
  • Nintendo Online

他にも挙げたらキリがなさそうですが、ここでは読者の方が利用していそうなサービスを想定してピックアップしました。筆者もAmazon PrimeやApple Musicを長年に渡って利用しています。

いずれも月額や年額といったプランがあり、その期間中の音楽配信や映像配信、専用ソフトウェアなどが使い放題になるというサービスです。

サービスそのものを提供するサブスク

なかでも先頭に挙げたAdobe Creative Cloud(以下Adobe CC)は2012年からサブスク化を進めており、IT業界におけるサブスクの先駆者といえるでしょう。

もともとAdobeはAdobe PhotoshopやAdobe Illustratorなど、多くのクリエイターが利用するツールを売り切り型のソフトウェアとして販売しており、当時のコンプリートプラン(全てのソフトウェアがパッケージ化されたもの)は約50万円と非常に高額でプロユースのソフトウェアという立ち位置でした。

それが、現Adobe CCコンプリートプランは、月額6,248円〜となっており個人レベルでも利用しやすく、さらに常に最新版のアップデートを受け取ることができるサービスとなっています。

ソフトウェア売り切りの場合は繰り返し収益を得る為には再びソフトウェアを購入してもらう必要があります。しかし、ユーザーからすると新しいバージョンが販売されても、高額な料金を払ってまで乗り換えるだけのメリットが感じられなければ買い控えを選択してしまいます。

実際、企業においても一年半ほどのサイクルで登場する最新版に対して、都度数十万もコストをかけて更新するということは難しく、特に中小企業においては数世代前のPhotoshopが使われ続けているということも珍しくありませんでした。

こうした売り切り方式が抱える乗り換え問題を解決し、ユーザーがソフトウェアを利用し続ける限り継続的な収益を得られるのがサブスクのメリットです。

また、サブスク方式の場合は収益の予想が立て易く、その分マーケティングや解約防止施策といった新たな課題に対して計画的に取り組むことが可能となります。

付加価値を提供するサブスク

一方でAmazon PrimeやApple Musicなどは、母体としてAmazonやiPhoneといった根幹のプラットフォームがあり、その価値をより高めるサービスとしてサブスクを導入しています。

Adobeとは異なり、Amazonで通販を利用するだけならPrime会員になる必要はありませんし、iPhoneを利用するのにApple Musicが必須な訳ではありません。サービス(製品)の柱となる機能は、無料か売り切りであり、サブスクで提供されるのは、その柱から派生した「もっと価値を高める」機能なのです。

こうした付加価値型のサブスクに共通するのは、「豊富なコンテンツ」です。

本来であればユーザーが一つ一つ購入しなければ利用できないコンテンツが、サブスクに登録するだけで膨大なコンテンツにアクセスできるようになります。

企業からすると、コンテンツ単体でのセールスをする必要がなく、膨大なコンテンツ群そのものが一つの巨大な商品となるので、幅広いユーザーのニーズを拾うことが可能となります。

ユーザーからしても、定額で気軽に複数のコンテンツを利用できることは大きなメリットです。

継続的な利用を促すには、ユーザーがそう簡単に消費しきれないほどのコンテンツが必要になりますので、サービス開始当初からある程度のコンテンツ量と質、そして定期的な新規コンテンツの供給も必要になるでしょう。

機能を解放するサブスク

続いて、各ゲームハードメーカーが提供するオンライン機能や、YouTube Premiumを見てみましょう。

これらもサブスクに登録しなくても一定のサービスを受けられる点では、前述の付加価値型と似通っています。大きく異なるのは、サブスクで得られるサービスが本来の柱となる機能と一体化しているという点です。

PS PlusやNintendo Onlineのメインとなる機能は、オンライン機能を持つゲームソフトでオンライン機能を利用できるようになるというものです。

YouTube Premiumであれば、動画の再生に挟まれる広告の非表示や、バックグラウンドやオフラインでの再生機能のパッケージであり、「動画の視聴」という柱の機能の延長線上で、より使い勝手を向上させるものになっています。

特に広告収益に依存するビジネスモデルから転換する形で、「広告の非表示」や「機能の解放」をサブスク化することは既にメジャーな手法といえるでしょう。

しかし、見方を変えると追加料金を支払わなければ本来の機能の一部を制限していると受け取られるため、安易に取り入れるとユーザーの反発を招く恐れもあります。

どこまでを基本機能とするのか、見極めは慎重に行わなければなりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

世に溢れるサブスクがどの類型に当てはまるのか是非考えてみてください。

一般的になってきたサブスクではありますが、ユーザーの支払い能力にも限度があるので、新たなサブスクを登録するには既存の契約を解除する必要があるなど、すでにサブスク枠の競争は激化しています。

また継続的な収益に繋がることは魅力的ですが、その分一つのサービスに対して継続的な開発・サポートも必要となります。ローンチして終わりではなくなり、その分新規開発に割けるリソースも低下します。

開発に携わる側の人間として、果たしてそのサブスクが適したビジネスモデルとなっているのか考えてみるきっかけになりますと幸いです。